昨今、「アップサイクル」という言葉も定着しつつある。従来から行なわれてきたリサイクル=再循環とは異なり、単なる素材の原料化、再利用ではなく、元の製品よりも、よりよきものを生み出すことを指す。アーティストは元来、錬金術師であるのだから当然と言えば当然なのだが、国島征二、LOT-EK、小澤香織、小栗沙弥子はともに、アップサイクルなスタイルで制作を続ける作家である。人が見向きもしなくなったもの、或いはさらに言ってしまえばゴミ同然のものを新たな形にし、息吹を与える。
消費社会へのアイロニックなアプローチであるのかもしれない。だがしかしそこには、誰かにとっては取るに足らないオブジェクトの中に、慈しみや愛おしみ、価値を見いだし、手の中に一旦、留めておき、触れて、触れて、納得がいくまで昇華させたいという思いがあるのではないだろうか。記憶や、過去があり自分は形成されている。自らに関わったすべてを受容し、今日を生きているのだと。円ではなく螺旋を描くよう、より高みを目指して。