陰と陽、天国と地獄、天使と悪魔、光と闇、生と死…表裏一体となり成立している世界。敵味方を明確にしておいた方が安心して「ナニカ」を信じることができる、とでもいうのか。この世界をぶつ切りにしたら、断面はどんな風だろう。管には赤い血の代わり何が流れているのだろう。どろりと何が溢れるのだろうか。
ラテン語で、生命や魂を指す「anima」。 大石早矢香は陶芸をはじめて以来、装飾をテーマに制作してきた。それがある時、非常に日本的であると気づく。動物や植物、人間や神までもが入れ替わり立ち代わり、優劣なく平等に柔軟に混じりあう古の物語を思い出した。
美しく可憐なだけでない。過剰なまでにデコラティブな内に有機、無機に関わらず保つエネルギー、混沌が宿り、時におぞましささえふつふつと沸き立たせる。すべては個で在るのではなく、繋がり絡み合い澱み艶めき巣食い救われ侵しては赦し睦み戯り存在するのだとでも言うように。対立するものなどかろく飲み込む、あやかし。手を引き意識を深い森の奥へと誘う。