イラストレーターとして地位を確立した、ドナルド・シルバーステイン(1932-2004)。ここでは通称「ダン」と親しみを込めて呼ぼう。ダンがタブロー絵画を本格的に描き始めたのは1970年前後という。以来、自己の絵画表現と向き合い、独自の美質を追求し続けた。多くのエチュード(習作)を残したのも、そのことを物語っているだろう。彼のタブローを観ると、イラストを手がける中で得た自由な線描の筆致や色彩感覚が、如何なく発揮されていることがわかる。
2004年に72歳で亡くなるまで、多くの作品を描き続けてきた。夫人が日本人だったことから在日経験も長かった。夫人曰く、特に日本に滞在した10年はダンにとって、創作に専念できた幸せな時期だったそうだ。音楽がとても好きで、そういわれれば彼の作品自信が音楽そのもののようにも観えてくる。